第22章 Why 神田パロ切甘裏
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「あ、今朝の」
図書室に行こうと夕暮れの射す廊下をひとり歩いていると、ある一室でソファーに腰を下ろしている神田を見つけた。
彼はを振り向くと、ぎろりと睨み付けた。
「えと…神田君、だよね?私、。この孤児院で1番年上なの」
よろしくね、と手を差し延べるが神田はそれをスルーした。
しかもずっと無言でこちらを睨みつけているので、恐ろしい。
「君…もしかして」
はハッと何かを察した。
何人かこの孤児院にもいる、
孤児になる前、何かの事故に遭って、それで…
「声がでな」
「俺はそんなにやわじゃねえ」
低い心地良いトーン。
神田の声だと認識するのに少し時間がかかった。
「あ、ごめんなさい。ずっと黙ったままだったから…」
ほっと安堵の息を漏らしにこやかに微笑む。
「入ったばかりで不慣れだと思うけど、仲良くしようね?」
もう一度手を差し出す。
けれど神田はに向かって小さく舌打ちする。
「誰にでもそんな顔する奴なんか信用出来るか」
吐き捨てるように言った。
は呆気に取られて声を詰まらせる。
神田は、その綺麗な顔を歪めて言葉を発する。
「俺の事だって、どうせ可哀相だとか思ってんだろ?こんな俺に、同情してんだろ?」
「なっ…」
「俺の事なんかほっとけばいいだろ?
「ほっとける訳ないでしょ!同じ家族なんだよ?」
は思わず神田の前に座り込み、彼を覗き込んだ。