第22章 Why 神田パロ切甘裏
何があったの?
あなたは感情をあまり出さないから…
わからないよ
無理に言わないでいいから、
もっと、
私を頼って…
ーーー・・・
「今日からみんなに新しい友達ができました。…神田君、自己紹介して?」
「………」
今日からこの孤児院に新しく入ってきた私と同じくらいの男の子。
名前は神田ユウっていうらしい。
深海のような色の綺麗な髪。
顔も色白で、とても整っているけど、眉間にシワが寄っていて目付きが悪い。
結局あの後も自分の名前だけ言って、どこかへ行ってしまった。
回りの幼い子供達はそんな彼をなんだ、と怒ったり、少女達は彼の美しさに頬を染めていた。
「ねえ、お姉ちゃん。お姉ちゃんもあのお兄ちゃんみたいなカッコイイ男の子が好き?」
「えっ…?」
まるで上の空で子供達の様子を眺めていたに、幼い少女が尋ねた。
「え~!もあんな奴が好きなのかよ~!?」
それを聞いた男子達がに詰め寄る。
「ベ、別にそんなんじゃないよ?落ち着いてっ…」
「は俺らのもんだ~!」
「ちがう、あたし達のお姉ちゃんよ!」
は孤児院の中でも、最年長の少女で、子供達から姉と慕われるほど面倒見がいい。
だからいつも、こんな状態の子供達を宥めるのは自分の仕事であった。
けれどは、あの神田という少年に、自分とどこか似ている所があるのだと感じていた。