第21章 恋いしくて 神田切夢【Time goes by続編】
―――…
「任務ご苦労様でした。
おかげで無事にイノセンスを回収できました」
任務が無事に成功し、はほっと息をついた。
「もう一度、辺りに異変が生じてないか見てくる…」
「あ、うん…」
神田は表情一つ変えずに、森の中へと姿を消した。
「エクソシスト様、我々も帰路の確認をしてまいりますので失礼します」
「わかりました。ここで待っていますね」
探索隊も頷き、それから再び森の中へ姿を消した。
「………」
ねぇ、ユウ…
今日、たった数時間一緒にいただけなのに…
あの頃の二人を思い出してしまったよ…
ほんと、嘘みたいだね…
あんなに喧嘩していたのに…
あんなに、互いを側に置きたがっていたのに…
今は、私、ひとりで生きている…
はそっと、胸に手を当てる。
貴方がいなくなった事で…私、少しは強くなれたかな…
「こんな所で、美人が一人じゃ襲われちゃうよ?」
は飛びのく。
その直後、がいた場所で爆発が起きた。
煙が立ち込め、その中に見た事のある装飾の付いた扉が現れた。
「っ…!」
は目を見開いた。
その瞳に映るのは、一組の男女…
「はぁい♪今日はアレンはいないの?」
「もうすぐ、青髪の青年が戻って来るぜ。…さっさと始末しねぇとな…」
同じ黒い肌を持つ…ノアの一族…
(まずい…)
は、目の前の二人から発せられる凄まじい殺気に、全身の毛穴が開いていくのを感じた。
(…ユウっ…!)
やっぱり…私はちっとも強くなれなかったね…
大切なものも、守れなかった…
最後に…ちゃんと、貴方を焼き付けておけばよかった…
焼けるような痛みと、何かを引き抜かれる感覚に、は目を閉じた。
瞼の裏に、あの日の二人が現れては消えた…
ユウ…
私は確かに、貴方を愛していたんだよ…