第20章 Time goes by 神田切裏
「わかった…」
突然の身体が傾く。
トサッ…
スプリングが軋む音と共に、白いベッドに倒される。
「なっ…」
抵抗する間もなく、神田が覆いかぶさる。
「ちょ…ユウっ…何を…っ」
「お前の別れたいって願い、叶えてやる。その代わり…俺の望みも聞け」
は神田を見上げた。
彼の表情を見た瞬間、言葉をなくした…
「ユウ…」
なんて…
なんて哀しい顔をしているんだろう…
彼を、こんな風にしたのは、紛れも無く自分なのに…
大好きだった彼を…
「最後に、お前を抱きたい…」
その言葉に、抵抗する事はできなかった。
彼が今にも消えそうな瞳をしていたから…
ねぇ…
どうしてそんなに苦しそうなの?
口には出さないけれど…
これはユウも望んでいた事なんでしょ…?
何か、言ってよ…
「んっ…」
神田の舌が、はだけた団服から覗くの首筋を伝う。
何ヶ月ぶりだろう…体を重ねるのは
喧嘩ばかりで当たり前の愛し方も忘れていた…
そう、これは人と人とが愛を確かめ合う行為なのに…
私達は何をやっているんだろう…
「ユウ…」
胸の突起を撫でていた神田は、の声に顔を上げた。
月明かりの青白い光にの頬を伝う涙は、美しく輝いた。
は呟くように言った。
「私達は、
何が歪んでしまったの…?」