第19章 永遠の物語 ラビ切甘裏
本当は、ありがとうと言うべきだったのだろう。
それすら言えない自分が嫌い…
人見知り、とも言うのだろうか…
それは果たして治るのだろうか…
(頑張って治さないと…あの人にも迷惑かけてしまう…)
は小さくため息をついた。
ちょうどその時、の小さな身体を抱き寄せた。
「♪」
温かい腕、逞しい…
振り向けば見知った赤髪の人懐っこい青年が笑みを浮かべていた…
「ラビ…」
「おはよーさん、ちゃんと飯食ったか?」
の小さな声とは裏腹にラビの陽気で明るい声は室内によく響く。
「まだ…」
「ちゃんと食べんと~あ、食堂行くさ?」
「ちょっとラビ、朝からにベタベタするの止めてもらえますか?だって固まってるでしょう」
アレンが歩み寄って来てラビにため息をつく。
「いいじゃん♪アレン、妬いてんさ?」
さっきよりもぎゅっと、を抱きしめるラビ。
「の顔が…微妙ですけど」
「あ…その…」
多分、彼らから見たら自分は不機嫌な顔をしているのだろうけど…
(嬉しいんだけどな…)
ラビは一応、の恋人。
教団に入団してすぐに想いを告げられ、半ば強引にこの関係になっている。
けれど決して嫌ではないし、彼はキスと抱きしめる以外の事はして来ない…
自分に気を遣っての、彼の優しさだろうが…
きっと溜まっているだろう。
たまにキスが激しくなって服を脱がされかけた事があったが、ラビはすぐに止めて謝ってきた。
自分を大切にしてくれるのは嬉しいが、それで彼が苦しいなら意味がない…
私が、もっと素直だったらいいのに…
彼に、伝えたかい事が沢山あるのに…
「あっ!危ないっ!」
科学班のジョニーの声が聞こえたが、はその声に反応してラビの腕から逃れる事しか出来なかった。
バシャンッ
何か温かい液体が、纏わり付いてくる。
「ぅ…」
急な眠気がを襲い、立っていられなくなる。
“!大丈夫さ!?”
彼が、
受け止めてくれる感覚がした…