第19章 永遠の物語 ラビ切甘裏
「あ、おはよう」
「何…してるの…?」
150も満たない小柄な身体の少女が、まだ眠たそうに歩いて来るとそこは荷物の整理をしている団員でいっぱいだった。
「この前話してた本部の引越し、あるでしょ?それの準備をしてるの」
同じエクソシストのリナリーはを向いた。
「そうなの…」
「知らなかった?」
「多分聞き流してた…」
「もう、ってば…でも可愛いから許してあげるね。
ここの荷物詰めるの、手伝ってくれる?」
リナリーはいつもの姉のような存在だった。
同い年には見えない幼い容姿のの友人である。
はまだ眠そうな瞳で辺りを見渡す。
皆、次のホームへ移る準備をしている。
(ここ…好きだったのに…)
内心残念に思うだが、そうも言ってられなかった。
一刻も早く戦力を戻さなければ、いつ襲撃されても対抗できるように…
「うん…」
は元々、あまり感情を表に出す事が得意ではなかった。
悪く言えば素直じゃないと言う事で…自身、それは改善すべき事だと思っている…
が、人間直ぐに変われるのならば苦労しない。
これでも大分、同性のリナリーやミランダとは言葉を交わす事ができるようになった。
しかし、
「あ、…その荷物僕が持って行きますよ」
「…っ……」
異性に対しては、緊張して目も合わせられない。
同じエクソシストのアレンは、自分を見、右手を出した。
「ほら、重いから僕があっちまで持って行きますよ」
親切な彼が、は嫌いじゃなかった。
ただ、内気故に無言で荷物の詰めていた段ボールを渡すので精一杯だった。
「……っ…」
「じ、じゃあ行ってきますねっ」
(ごめんなさい…)
申し訳なさで、は俯いた。
「無様だな、もやし」
「声もかけられない神田に言われたくありませんよ」
遠くでそんな会話が聞こえる。