第18章 何度も 神田切裏
サラ…とが上げた髪紐が揺れての視界に入る。
「ユウの事愛してるから、怖くないよ。ユウも、そうでしょう?」
私を、
愛してくれてるのでしょう?
それを聞くと神田は喉の奥でククッと笑った。
「やっぱりお前は馬鹿だな。
――…冗談だ。無理には抱かない」
「ぇ…?」
神田は身体を起こし、に覆い被さっていた身体を退かした。
はキョトンとしながら身体を起こした。
「ユウ…?」
「あのまま…泣いたらもっとよかったのにな…」
彼の、様子が変だ。
会ってまだ間もないが、彼はこんな風に笑うのだろうか?
それに…
手で隠された顔は、笑ってない気がする。
「ユウどうしたの?
今日のユウ、どこか変だよ」
恐る恐るそう尋ねると、神田はこちらを向いて言った。
「男は惚れた女の全てを欲しがるもんだ。…未来もな」
はその言葉に、いつも以上に顔を明るくした。
「未来も…?」
「それが、惚れた女ならな」
ユウは、自分と一緒になってくれるのだろうか…?
「ユウ、抱いてもいいよ」
「…なっ、お前…」
神田はを睨み付ける。
はそれを見てみぬフリをして、着ているワンピースに手を掛けた。
神田が咄嗟にの肩を掴んだ。
「てめぇわかってんのかよ!?俺は…」
「うん、でも…私はユウが好きだから…ユウとならって思うんだ…」
照れる様には俯く。
けれど、これは照れているのではない。
哀しみを、隠しているのだ。