第18章 何度も 神田切裏
次の日の夕方、はまた神田と会った。
今回はあらかじめ、会う約束をしていた。
からではない。
なんと神田からで、こんな所は積極的なのかと、は弾んだ気持ちで神田が泊まっているという宿に行った。
「ユウ、私…だよ」
宿の一番奥の部屋、バスケットを下げたは木製のドアをノックして神田の名を呼んだ。
ガチャリと扉が開き、開いた隙間から神田が顔を出した。
「ユウ…?」
「さっさと入れ」
様子がおかしい?
は内心首を傾げたが、促された為、足早に部屋に入った。
「ユウ今日ね、花火がっ」
中に入り彼を向いた瞬間、勢いよく後ろのベッドに押し倒された。
「え…?」
ばらばらと、バスケットの中の荷物が床に散らばる。
顔を上げれば神田が自分に組み敷くような体制で見下ろしていた。
「会って間もない男の口車に乗るとは、やっぱり馬鹿な女だな」
「…ユウ?」
「こんな事になると、予想してなかったか?男の部屋に呼び出されるなんて、先は見えてるだろ」
昨日とは、まるで目付きが違う。そんな彼に、はどうすればいいのかわからなかった。
けど、神田が今、何を求めているのかは嫌でもわかる。
「ユウは…私を抱きたいんだよね…?」
「察しがいいな」
神田は頷いて見せた。
はそれを見ると、強張っていた手から力を抜いた。
「いいよ。ユウだったら抱かれてもいい…」
「…?」
神田は僅かに眉をひそめ、を見つめた。
「怖くないのか?」
「うん、だって」
は微笑む。
「ユウが…私を求めてくれてるんでしょう?」