第17章 恋愛写真 クロス切裏【HEAVEN番外編】
「もうお前もレディーの仲間入りか…」
「はい。もう二年も経つんですね…早いです」
太陽が西へ傾く夕暮れ時の街中を、クロスとは歩く。
行き交う人々がの美しさに振り返るが、クロスはそんな彼女を心配してくれる事など、ない。
ましてや、手など繋いでくれるわけがない。
はいつもクロスの斜め後ろを歩く。
彼の大きな背中が有無を言わせず自分を守ってくれている気がするのだ。
はそれが嬉しくて小さく微笑む。
だが、が彼の隣を歩かないのはもう一つ理由があった。
この二年で、彼の金遣いの荒さや女好きは嫌というほど味わってきた。
毎晩のように飲みに行き、明け方には女を泣かせて帰って来る。
そんな彼に最初は不信心を抱いたりもしたが、それが彼自身の生き方なのだと自分に言い聞かせて来た。
普段どうしようもない、と思っているけれど、それでもほうっておけない彼への想いに負けて、今は彼の世話係をしている。
彼への想いは募って行くばかりだが、クロスは一度もを抱いた事はなかった。
が拒んでいたのだ。
自分とクロスとでは釣り合わないと、そう思っているのだ。
二年も経つのに、未だに自分のしたい事も見つけられずにいる。
そんなあやふやに生きている自分が、彼と並んで歩けるわけがなかった…
焦りが、の胸中で渦巻いていた。