第17章 恋愛写真 クロス切裏【HEAVEN番外編】
あの時の私は、世界がとても明るく見え始めていた。
足が軽くて、身体が軽くて…
きっと誰よりも輝いた笑顔だったにちがいない。
父から連絡を受けたのだろう自分の婚約者が慌て私を止めに来た。
けれど私は逃げ抜き、飾ってあった写真も服も、全部燃やした。
私は死んだのだから…
それからまた港まで走った。
自分の婚約者だった男のしつこい追っ手を逃れ、私は走った
走って走って…
あの人に追いつく事しか考えていなかった…
あの時はただ嬉しくて…貴方に芽生えた恋心に、気づく筈もなかった…