第17章 恋愛写真 クロス切裏【HEAVEN番外編】
「ん…っ」
いつもと微妙に違うベッドの肌触り。
は目を覚ました。
甘やかな香水の匂い…
見慣れぬ豪奢な造りの天井に、は意識をはっきりさせた。
勢いよく身体を起こす。
(そうだ…私、ちゃんと…)
「わぁっ!」
すぐ側で聞いた事のある声がした。
振り向くと、自分が飛び起きた事に驚いてソファーからずり落ちた白髪の少年がいた。
「あ…」
あの男と一緒にいた少年だ。
何の師弟関係かはわからないが、彼を師と、慕っているようだ。
「目が覚めたんですね。僕、アレンって言いますっ」
愛らしい笑顔で少年は言った。
「ここはどこ…?」
「まだ船の中ですよ。後、二時間くらいで到着だって、師匠が言ってました」
「師匠…あの人と君はどういう関係なの?」
アレンは少し戸惑う。
「え…と…それは」
その時、扉が開いた。
「目は覚めたか?お嬢さんよ」
まるでが目覚める時がわかっていたかのように、赤髪のあの男は現れた。
「あ…」
「馬鹿弟子、ちょっくらメインでカードでもしてこい。土産はロマネ・コンティだ」
アレンは身体を起こした。
「は、はい!」
そして慌ただしく部屋を出て行った。
パタン…と、扉の閉まる音がしては男を向いた。
「あの、ご一緒させて頂く事、許していただいてありがとうございました!」