• テキストサイズ

songs(R18)

第17章 恋愛写真 クロス切裏【HEAVEN番外編】




正しいのか、なんてわからない
けれど私は…私の意志で動いた…


「何を言っているんだ、!」
「そうですわ!何をおかしな事を…!」

の両親が激怒して叫んだ。

は振り向き首を振った。


「いいえお父様、お母様…私、ずっと思ってた。貴族なんてものがあるから、人々は苦しむの。私は人を苦しめるお父様達のようになりたくない。

決められたシナリオで動くマリオネットなんかじゃない…!

私は自分の足で歩きたい。
この人がいるなら、それができると思うんです」


そう言って再び男を振り返った。


「だからお願いします!私には貴方が必要なんです!!」


暫く沈黙が続いた。

男の隣に立つ少年は、自分と彼の双方を見比べている。

あの白髪の少年は、男がどんな表情をしているのか知っているのだろう…

彼は何を思ってる?

いつものように、不敵に笑っているのだろうか?


船が港に到着した時、男はやっと口を開いた。



「馬鹿弟子、下りるぞ」

「……!!」


それは、自分に向けられたものではなかった。
が、

「え、でも此処はまだ目的地じゃないですよ?」

港の名前を再度確認して少年は言った。

すると男は、わざとらしく手で自分の頭を押さえた。


「…船酔いだ。三時間くらいこの港の宿で休んでからまた乗るぞ」
「は、はい!」

そして男と少年は船を降りた。

は男の背を見た。

黒い衣を纏う彼の背中は何かを語っていた。

“来れるもんなら来い”

けれど自分にはまだやるべき事がある。

自分の存在を抹消するため家に戻り、この金に貪欲な両親の手から逃れなければ。

それを果たすために自分に与えられた三時間…


急がなければ…

は駆け出した。



/ 412ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp