第16章 HEAVEN クロス切裏
夜が朝に変わるのが、窓から見える空の色でわかり…
私は寝返りを打った。
すると、そこには隣で眠っていた彼の温もりが無くて…
私は寝ぼけてそれが重大な事だと解るのに時間がかかった。
けれどその前に、彼はバスルームから姿を現し…
まだ半分夢の中の私を見て笑っていた…
“俺はもう行く。
お前を店まで送るように手配はした…”
クロス様はそう言っていた。
“まだ寝ておけ。
身体に負担がかかる”
いつもより少し優しいクロス様…
私は夢の中で嬉しかった…
“お前にこれをやる”
ベッドに歩み寄って、私に視線を合わす。
私は虚ろな瞳で彼を見ていたに違いない。
「………」
“センベツだ…泣くなよ”
クロス様は、本当に綺麗に微笑んで、私に何かを差し出した。
けど私は子供のようにまた目を閉じてしまい、
クロス様がそれを私の手に握らせるのが感覚的にわかった。
“じゃあな、”
そう言って足音が遠退いていく…
ああ、待って…
私、ちゃんと貴方に伝える事ができましたか…?
クロス様…