第16章 HEAVEN クロス切裏
キィ…カランカランッ
「クロス様ぁ!!」
店を飛び出し、彼の姿を追う。
「ついて来るな!」
背を向けたまま、クロスは怒鳴った。
途端に足がすくむ。
涙が後から後から流れ出る。
「クロス、様…っ」
こんなに…こんなに愛しいのに…
その背中に駆け出せない…っ
「美人はもっといい男を見つけろ
そいつなら、俺以上にお前を幸せにできる」
貴方以上の人なんて…
いるわけない…っ!
ーーー・・・
結局、私は彼を追う事は出来なかった…
けれど、今でも彼を想う気持ちはひとつも変わらない。
彼を愛してる…
貴方を追いかける事が出来なかった自分が悔しくて、
あの花言葉の意味を、受け入れたくなくて…
次の日、店を飛び出した。
貴方に逢いたくて…逢いたくて!