第16章 HEAVEN クロス切裏
「どうして…?」
は顔を上げて、愛しい人を見た。
「俺はこれから日本に行く。
伯爵のシナリオとやらが動き出したんでな。
んで、サポーターのお前にはもう情報を貰いに来れない…」
お前とは、永遠に別れる事となる
「だから、この花を…」
「俺じゃあ、お前と一緒にはなれない。俺は追われる身なんでな…」
クロスはそう言って、出された酒を一口も飲まずに淡々と席を立った。
まるで、これが別れだと感じさせないように…
「私も…っご一緒させて下さい!」
店を出ようとするクロスを引き止めた。
店内の客達が、彼女の声に振り返る。
「今まで通り…愛人でも、サポーターでも構いません!
私はクロス様のお役に立ちたいんです!」
けれどクロスは背を向けたまま。
「無理だ。俺じゃお前を幸せには出来ない」
「幸せじゃなくてもいいです!
私はただ…貴方のお側にいられるだけでいいんです…だから…っ」
涙が溢れる。
声が震える…
だけど、貴方を失いたくない…!