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songs(R18)

第16章 HEAVEN クロス切裏





「まぁ…オルゴールですか?」


上質な革と細かな宝石が装飾された…クロスの髪と同じ色をした小さなオルゴールに、は目を輝かせた。


開けたそれからは、の好んでいたセレナーデがなめらかに流れ出した。


「好きな音楽まで…ありがとうございます。

本当に…嬉しいっ…」

「おいおい、泣くんじゃない。野郎が野蛮な目で見てくるぞ」


綺麗に涙を零すの頭にクロスの大きな手が乗る。


「お前みたいな美人は、愛する奴の前でしか泣くな…」


はクロスを見上げて微笑んだ。

「私はクロス様しか愛していませんよ」


クロスは僅かに目を見開いたが、また煙草を吹かし、息をついた。


「…どうかされましたか?」

彼の様子がおかしい事に、は首を傾げた。


「…今日はお前にもう一つ、渡すもんがある」

「もう一つ…?」

「ああ、ちゃんと受け取れるな?」

彼のおかしな物言いに、は内心首を傾げたが、内に秘めて頷いた。


「はい…」


クロスは煙草の火を消し、黒い鞄から花束を取り出した。


「確か、お前は花が好きだったよな…?」


それは黄色い花束で、クロスはそれをに投げるように渡した。



「ぇ…?」


はそれを受け取り、目を見開いて言葉を失った。



「花好きなお前はそいつの意味を知っているか…?」


呆然と受け取った花束を見下ろすを横目に、クロスはまた新しい煙草をくわえた。

煙が鼻につく事など、は気にも止めずにただ、目の前にあるものが理解出来なかった。




「どういう事ですか…クロス様」



やっと出てきた声は震えていて、かなりの衝撃を受けていた。




「そのままの意味だ。
黄色いチューリップ…」





は知っている…





黄色いチューリップの花言葉は、









【実らぬ恋】








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