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songs(R18)

第14章 SNOW KISS アレン切裏






あれから五日。


病室にはぱったりと人が来なくなり、看護婦が朝食を運びに来るだけだった。

けれど今日は違った。

アレンの友達という赤髪の青年が来た。



「どもっ。ラビっす」



陽気な口調に、はやや警戒しつつ頭を下げた。


「どうも…」

「ハハハ、そんな警戒せんでいいさ。
アレンからアンタに伝言預かったんさ♪」


は目を丸くした。



「え…!?」

ラビはそんなにニヤニヤと口元を緩めながら言った。


「任務先が少し長くなって、帰るのに後五日掛かるって」
「五日…」

任務で…遅くなるんだ…

「それと」
「…?」
ラビを見上げると、ラビはニッコリと微笑んだ。

「帰って来たら、伝えたい事があるんだと♪」
「え…?」
「いやあ、アレンにもやっと、て感じさね♪」
ラビはそう言うとの頭に手を置いた。

そして、と目線を合わせる。

「ま、よろしく頼むさ」
アレンは俺の弟みたいな奴だからな、と付け足して部屋から出て行った。

またひとりになったは熱くなった頬に手を当てた。

「伝えたい事…って…」
これは、好機なのかもしれない…

何だろう…内容は、だいたいわかっているのに、嬉しくて…

アレンが、私を…

けれどはすぐに現実を思い出して俯いた。
(どうしよう…私はノア。
アレンを好きになるなんて、許されない)

けど伯爵や他のみんなだって大事だ。

デビットは心配してくれているのだろう。

それなのに私は、

別の男を好きになってしまった…

禁じられた想いは、きっと実らない…
なら、いっそ…

「…忘れよう…」

帰ろう、ノアのみんながいる場所に――…

いつかはアレンは自分がノアだと知り、私を殺さなければならないだろう。

その時、一番傷つくのはアレン。
なら、あなたが何も知らない今なら、まだ間に合う。

私がこのままいなくなり、正体を偽ってノアを名乗ればいい。

それなら、全てが元に戻る―…

私が、心の悲しみを受ける代償になら、

アレンを傷つけないのなら…

「安いものよ…」

ぽろぽろと涙が零れる。

「ふっぅ…」

悲しい、悲しすぎる…

は静かに泣き続けた。
そして次第に意識が遠退き、眠りについた―…





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