第14章 SNOW KISS アレン切裏
は口端を吊り上げ、微笑んだ。
「じゃあアレン君も、敬語はやめてね?」
「ぼ、僕もですか?」
アレンは困ったように顔を赤らめる。
「うん。だって敬語使ったら見えない壁があるみたい、なんでしょ?」
アレンはしばし悩み、そして照れるように頭をかいた。
「わかり…わかった」
「約束ね…」
ぎこちなく、照れ臭いのを笑みで隠すアレンに、は心から微笑んでいるのに気付いた。
(やだ…なんで?)
「、顔赤いよ?」
熱が出てきたんじゃ、と額に手を宛ててくるアレンに、は一層赤面した。
握りこぶしに力が入る。
殴り倒してやりたいのに、それも叶わない。
(なんでなのよ!?)
「熱はないみたいだけど、少し休んだ方がいいね」
額に宛てた手を離し、毛布をかける。
「あ、ありがとう」
内心ホッとした様子で、は素直に応じた。
顔を見られないように毛布を鼻まで隠す。
アレンは微笑んでの前髪を撫でた。
「じゃあ、おやすみ…」
「あ…気をつけてね…?」
それは自分でも無意識に出た言葉で、慌て口を手で覆う。
去ろうとしていたアレンは驚いたように目を丸くしたが、すぐに微笑み、
「ありがとう…」
と言って部屋を後にした。
は最後まで、彼の姿が扉の向こうに消えるまで見ていた。