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songs(R18)

第14章 SNOW KISS アレン切裏







(どうする…?どうする?)



「もしかして、記憶がないんですか?」


「え…?」



アレンが唐突に言った。

自分が尋ねても、ずっと黙りっぱなしのを見て、記憶がないのだと思ったのだろう。




「崖の下に倒れていたんで、崖から落ちたんですね。

その時に頭を打ったのかもしれません…」



かわいそうに、と悲しげにを見つめる。



「いえ…」


とにかく、ここは向こうの話に合わせるしかない。



は記憶を失った一般人として、怪我が治るまで敵側である黒の教団にいる事になった。


という名前だけは覚えている事にして。



(まあ、こっちも怪我が治らないと動けないし、下手に疑われなくていいか)


この怪我だったら二週間もすれば元通りになる。




後は自分が速やかにアレン・ウォーカーを始末すれば事はスムーズに行く。







そう、待つんだ。

チャンスを…











ーーー・・・





「こんにちは、」


「あ、今日も来てくれたんですか…?」



あれから一週間、アレンは毎日のようにのいる病室に訪れては花瓶の花の水替えや、と話をしにきた。



「はい。明日からはずっと、任務で来られなくなるんですが、記憶が無くなって不安だと思うんで…」



何か思い出しましたか、そう尋ねる少年に、は人として少なからず罪悪感を覚えた。



会ったばかりの正体もわからない自分をこうまで心配してくれて、そんな彼を自分は騙しているのだと思うと胸が痛む。



「いえ、まだ何も…ごめんなさい」


「そうですか…でも焦る事ないですよ。

あ、僕に敬語は使わないでいいですよ」


「そんな…助けてくれた恩人に馴れ馴れしい事、できません…」


両手を振って否定する。

すると、アレンはずいっと顔を近づけて、



「僕はに敬語使ってほしくないです」

と言った。

敬語で話していると、何か見えない壁があるみたいだから…と付け足す。



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