第14章 SNOW KISS アレン切裏
時は三週間ほど前にさかのぼる―…
ノアの一族であるは本部襲撃の下見に、黒の教団の近くまで来ていた。
「此処ね。私達の邪魔ばかりする奴らの住家…」
は憎々しげに拳を握った。
「今度こそ、あいつらエクソシストを…!」
は今までずっと伯爵のサポートを務めていて、エクソシストと交戦はなかった。
けれどロード達から奴らの事を何度も耳にし、顔も知らない宿敵に怒りを覚えていた。
そして今日が事実上初任務。
今回は下見だけと言われたが、目に入った人間何人かを殺すつもりだ。
「さてと…誰か出てこないかな…」
辺りをキョロキョロと見渡す。
一応人間に変装してノアである事を隠す。
その時―…
ガラララ!
「きゃっ」
が立っていた場所が突然崩れた。
脆くなっていたのかもしれない。
はそのままバランスを崩し崖から落ちた。
唯一できる事は、凄まじい衝動から身を護る事だった…
ーーー・・・
「ぅっ…」
最初に感じたのは全身に感じる鈍い痛み。
そっと目を開くと、そこは白かった。
白い天井だ。
少し視線をずらして見ると、綺麗に包帯に巻かれた自分の腕があった。
(そうだ…私…)
崖から落ちたんだ…
(見た所ここは病室…誰かが私を運んだのね)
あんな所でしくじるとは…
は自分を嫌悪した。
身体を動かそうにも、打撲が酷く上半身を起こすので精一杯だった。
「あ、目が覚めたんですね」
ドアが開き、白髪の少年が入って来た。
「…っ!?」
は目を丸くした。
赤いペンタクル…
そっと視線を下に下ろすと、赤黒い左手。
伯爵に聞いた、例の…
(アレン・ウォーカー…)
私達の、敵…!
「そんなに怯えないで下さい。僕はアレンっていいます。あなたは?」
アレンはにこやかに近づいて、そう尋ねた。
(どうする…?コイツは私がノアだと知らない。
でも、今のこの怪我じゃ…)
ノアの能力を、発揮できない。
確実に相手が有利だ。