第14章 SNOW KISS アレン切裏
「~久しぶり~♪」
ぴょんと、の細い首にロードの腕が絡み付く。
「うん、そうだねロード…」
「あれ~?ってば元気ないじゃん。人間になんかされた?」
少し様子のおかしい同族に、ロードは首を傾げる。
けれどは首を振って否定した。
「まさか。そんな事あるわけないじゃない」
「だよな!は俺らと同じノアの一族だもんな!」
くいっとの頭を胸に押し付けて言うデビット。
久しぶりに会えた恋人を見ても、の表情は明るくならなかった。
「…?マジどうしたの、お前?」
そんな恋人を見下ろして言うデビット。
「ううん、本当に大丈夫。
ごめんね?少し疲れただけだから…」
そう言って、デビットとロードからするりと抜け出すと、ひとり自室に帰って行った。
「…?」
残されたデビットは首を傾げ、ロードはそんな彼に、意味深げに微笑んだ。
ズズ…
自室のドアを閉めると、そのまま脱力するようにその場に座り込む。
すると、ポタポタと涙が溢れた。
「ふ…ぅ…っ…!」
拭っても拭っても、溢れ出す涙。
は声を殺して泣き続けた。
「会いたい…っ」
はそっと自分の利き腕に手をやった。
そこの服の下には白い包帯が丁寧に巻かれてあった。
ロードやデビットが巻いたのではない。
あの日、あの時…
“彼”が、巻いてくれた―…
目を閉じれば
蘇る、あの記憶―…
こんなに辛いのなら、出会わなければよかったね…