第12章 more than a million miles アレン裏
でも、と私は再び俯き自分の肩を抱いた。
「私は汚れ過ぎたわ。もう貴方と同じ空間にいるのだって恥ずかしい…」
「そんな事ないですよ」
アレンは私の正面に立ち、目線を合わせると手を取り、キスを落とした。
頬が一気に熱を持つのがわかる。
紳士は必ず取る行為なのに、顔立ちの幼い彼がやると、くすぐったい気持ちに駆られる。
「貴女は綺麗だ。
遠くで見ていたあの時と、何も変わらない…
だから、死ぬなんて言わないで」
アレンは懇願するように私の手を両手で包み込む。
「償える筈です、僕らの犯した罪は…過去は」
全てじゃないけれど、
きっと
これから待つ、未来で…
「僕がいます。
だからもう自分を責めないで…
過去の呪縛から抜け出してもいいんだ」
「…本当に?」
無理に笑わなくても、いい?
独り罪に泣く事も…しなくていいんだ…
そう思うと、また新しい涙が零れた。
アレンはそれを舌先で拭う。
「なっ…」
恥ずかしくなって我に返ると、自分達のしていた事を今更ながら理解して、頬を染める。
「レディ…僕なら貴女の悲しみを受け止めれる。
何故なら僕は君を愛しているから
だから、貴女も僕を愛してくれているのなら、名前を教えて下さい」
その言葉に、私はピクンと肩を跳ねさせた。