第12章 more than a million miles アレン裏
ーーー・・・
「わざと負けましたね…?」
ドサッと深紅のベッドに押し倒される身体。
「何の事?」
いつものように平然を装う私。
それを銀色の瞳が射抜くように見つめてくる。
「僕に勝たすようにわざとレアなカードを回しましたね…何故ですか?」
そう、先程のゲームは端から見ても天と地の差のような結果だった。
負けた後の私はいつものように平然を装って、まるで負けるのが当たり前のよう。
「私を殺して」
かなり近い距離にある少年の顔に向かって言った。
「まるで貴女は、最初からそう願っていたみたいですね。
けど残念、僕は貴女を殺しませんよ」
そう言うと、アレンは優しく微笑んだ。
「泣いているお姫様を殺すなんて、紳士のする事じゃありませんし」
「なっ…」
言われて私は初めて泣いているのだと気付いた。
アレンはその涙を、化粧を落とさない程度に優しく拭う。
「もう一度聞きます。どうしてわざと負けたの?」
アレンは、親しい友に話し掛けるように優しく、尋ねた。
この涙は、何の涙…?