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songs(R18)

第12章 more than a million miles アレン裏




「オーナー、いらっしゃる?」


ウェイターに赤いカードを差し出し言った。


「っ…かしこまりました―――――――どうぞ奥へ」


ウェイターは一旦奥へと駆けて行き、しばらくしてまた戻って来た。


そして私を見て、微かに頬を赤らめた後、私を奥の通路へ通した。



私も名の知れたものだな、とまるで傍観者のような気分でいると、
1番突き当たりの部屋で止まった。



「こちらです」


豪奢な扉が開き、甘い花の匂いが鼻につく。



貴族が好むような深紅に統一された部屋。



キングサイズのベッドに、シャンデリアの光りに照らされた黒いソファー。



それだけは黒で、私の目を留まらせていた。



「悪くない部屋ね…」


「お褒めいただいて、光栄です」


綺麗なアルトボイス。

彼はその黒いソファーに優雅に腰を下ろしていた。


細いラインの身体に、紳士を装うダークスーツに身を包んだ白髪の男。


彼こそ、今夜、“ハートの女王”のターゲットに選ばれたこの店のオーナー。



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