第12章 more than a million miles アレン裏
「今夜はここで遊ぼうかな」
この世には“裏世界”がある。
薬や女、臓器だって売られるこの世界。
私も、どっちかといえばこっち側の人間。
片っ端のギャンブルの場を征し、乗っ取って来た。
もちろん、そこのオーナー達は私の優秀な部下達に消されていった。
ゲームに強い者が生き残る、この世界での私の異名は“ハートの女王”。
傲慢で、逆らう者とはゲームで勝負し、首を切らせる。
ピッタリだ、と私は思う。
だって私はこの弱肉強食の世界が楽しくて仕方ないもの。
さあ、今日も私は誰かの屍の上に立つんだ…
そして私は閉ざされた闇への扉を開けた――…
大人達の驚いたような視線に身体を包まれながら、私は前へ進む。
そこは時が止まったかのように静まり返り、私の高いヒールの音だけが響く。
『ハートの女王だ』
『うそ、とてもお若いのね』
『ああ、そして美しい…』
金髪に“ハートの女王”のトレードマークの真っ赤なドレス。
それを身に纏うのは20代前半の美しい女だ。
“ハートの女王”という名前からか、醜い魔女のようなイメージを持つ私にとって、このギャップに驚く声は聞き飽きた。