第11章 INNOCENT SORROW ラビ切甘裏
「?」
いつもの感触がない。
何か足りない…
そう、潤い
「感じて、ない…?」
その事実にはっとして我に帰り、を振り返る。
すると、涙を拭う事も出来ずに赤い目で自分を見つめるの姿があった。
手は拘束され、淫らにはだけられた身体。
そこから除く白い肌にはいくつもの自分の束縛の証が刻まれていた…
そんな彼女の痛々しい光景を見て、初めてラビは自分が侵した過ちに気付いた。
「…ごめん…」
彼女の手を戒めていたヘアバンドを外して彼女を抱き起こすと、そっと割れ物にでも触れるようにふわりと抱きしめた。
その小さな少女の身体は、今までの恐怖に小刻みに震えていた。
自分はなんて事をしたんだろう。
こんな強姦紛いな事をして、何を確かめたかったんだろう…
「ごめん、ごめんさ…」
「ラビ…」
「怖かったんさ、が別の誰かの所に行っちまうのが」
だから、一生自分のものだという事を身体に刻もうとしていた悪い自分…
そんな彼を攻めようともせず、は彼に口付けた。
「…?」
「私も、ラビと同じ気持ちだったの。ラビ、よく任務の事でリナリーと話すから…
リナリー、可愛いしラビもあんな綺麗な人がいいのかなって思って…
それでアレン、君に相談してみて…ラビと話し…てみたら…って…」
話していくうちにみるみる涙を零す。
その姿はラビ自身も傷付かせた。
全部自分の空回りだったんだ…
どうしてリナリーの忠告を聞かなかったんだろうか…
は優しいからって、安心して…
笑顔の下に隠された悲しみがあったのに、気付いてやれなくて…
傷付かせた…
「ごめん、本当に…!俺の為に強く見せてくれてたんだよな…
気付いてやれなくて、本当に…」
こんな事で償えるわけじゃない…わけじゃないけれど、やはりは優しかった。
滲んだ涙を拭ったのだ。