第11章 INNOCENT SORROW ラビ切甘裏
冷たい、射抜くような瞳。
無意識には恐怖心を抱いていた。
自分の恋人だというのも忘れて
「や、やめて…何の冗談?」
身じろぎをしてみるものの、腕をシーツに縫い付けられて何一つできない。
こんな時、男と女の力の差が嫌でもわかってしまう。
「本当にアレンと何話してたか言わない気なんだな?」
「まだそんな事…」
今日のラビはいつもの彼じゃない。
それはわかりきった事だが、彼は誤解している。
自分がアレンと浮気していると思っているようだ。
「本当に何もないの!…信じて」
ただ、いつかあなたに言おうと思ってる事がある…
だが、ラビの返事は冷たいものだった。
「やだ。信じない」
まるでそれは裂けた傷口に毒を塗られたような…
嫉妬という名の憎悪にラビは犯されていた。