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第2章 Serenade 神田 切甘裏 【三日月の続編】






「そうか…」
「でも、淋しかった…」

少し上目で神田を見上げる。
その目尻には決して流さないと決めた筈の涙があった。

「馬鹿…今泣いてどうする…」

呆れた表情の神田に、は背を向けて泣き顔を隠す。


「ごめん、あれ…?
こんなつもりじゃなかったのに…っ笑って…いつもみたいにふざけながら背中叩く筈だったのに…!」

いざ、愛する者を目の前にすると、照れ隠しでさえも上手くいかなくなる…


「…」
神田は、ふわりと優しく、を包み込んだ。



うなじに顔を寄せると、赤ん坊のように柔らかい香りが鼻をついた。

「…ただいま、....」

包み込んだ小さな身体は、ぴくりと肩を揺らし、顔をこちらに向けた。


「おかえりなさい…ユウ」







ーーー・・・



トサッ…

「…俺のいない間、何を考えてた?」


二ヶ月ぶりの神田の部屋に入り、優しくベッドに押し倒され、組み敷かれる。


「多分、ユウの事」
「多分って…てめっ」
「嘘。怒んないでよ…」

シワが寄る神田の眉間に、は指を押し当てる。
息が前髪を揺らす程近い距離で、は勝ち気に微笑んだ。

「ユウの事…ユウしか頭の中になかったよ。元気にしてるとか、怪我してないとか…」
「電話でいつも体調は伝えてた筈だが?」

片方の口端を吊り上げ、神田は言った。

「そうだけど、最後の一週間…連絡くれなかったじゃない」
「ほとんど列車の中だった。取りたくても取れなかったんだ」
「列車の中で…綺麗な女の人に話しかけられなかった…?」

神田は僅かにキョトンとした表情をした。
けれど、は決して笑ってはいなかった。

「ユウ、めちゃくちゃ綺麗な顔してるんだから、ユウの性格知らない女の人なんかすぐに声かけに来ちゃうよ…?」
「性格を知らない…?どういう意味だオイ」
「とにかくっ…浮気とかしてないよね…?」

一瞬怒りを覚えた神田だったが、懸命に尋ねてくるを見て、それは消え去った。





言うものか…

可愛いなんて…








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