第2章 Serenade 神田 切甘裏 【三日月の続編】
「ってば、神田の帰りが待ちきれないんだね」
隣でリナリーが微笑む。
「そ、そんな事…」
「隠す事ないじゃない、付き合ってるんだから」
そう言われ、は頬を赤くする。
「そうだけど、最後にユウと喋ったの、一週間も前なんだ…」
「…?それがどうかしたの?」
リナリーはキョトンとして、俯くを覗き込む。
「い、一週間も連絡なくて…もしかしたら…任務先で凄く綺麗な人に会ってその人好きになっちゃったんじゃないかって心配で…」
子猫のように瞳を潤ませ、は言った。
リナリーは彼女に微笑み、安心させるように肩に手を置いた。
「大丈夫。神田はそんな事する人じゃないわ…それはが1番わかってるでしょう?」
はこくんと頷いた。
は神田と同じ頃に入団し、以後彼の幼なじみを名乗っていた。
その肩書に似合う程、二人は互いに信頼し合い、惹かれ合っていたのだ。
「ユウが…浮気するわけない、よね…」
「そんなに俺が信用出来ねぇか、」
真後ろから、声がかかる。
1番聴きたかった声。
大好きな彼の…
びくんと肩を跳ねさせ、目を丸くして振り返る。
「いつ…帰って来たの…?」
「昼だ。コムイに報告書を出しに行って来た」
そう言うと、いつものように視線を反らして舌打ちする。
「チッ…俺が帰って来たのに嬉しくねぇ「おかえり…!」
神田が言い終わる前に、溢れ出す感情を抑え切れずは抱き着いた。
もう離さない、という程強く、強く抱きしめる少女に、神田は微かに微笑んだ。
ちらりとリナリーを見やると、彼女はに微笑み、神田に頷くと、踵を返して去って行った。
「…俺がいない間、泣かなかったか?」
低く落ち着いた声色で尋ねる。
神田の胸に顔を埋めたまま、は頷く。