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songs(R18)

第10章 「アイシテル」 ラビ切甘裏





ギクリと心臓が高鳴った。


「いつも私ばかり好きって言って、あなたは笑ってる。

それは本当は私の事が好きじゃなくて、あなたを本気で好きな私を見て笑ってる、違う?」

「…違うさ」

「違わないわよ!」


ラビは顔を上げ、の手を掴む。


「違う!」


思わず怒鳴ると、ビクッとの肩が跳ねた。


「俺がお前に言わないのは…お前を傷付かせたくないからさ」



歴史はどう動くかわからない。

ブックマンとは中立の立場で世界の動きを記録する者。

いつ、自分はこちらを離れるかわからない…



「お前の想いは、本当にしっかり受け止めてる。俺だって、ちゃんと想ってる。

でも、俺はブックマンだから、歴史の動きに沿ってここを離れるかもしれない。


そんな事になれば、俺が1番傷付けるのはお前だと思うから…」


「そんなの…勝手じゃない…」



そう、全部の為に…

涙を流して、はラビを睨む。


「だから何も言ってくれないの?私を傷付かせないために。」


「この方が、俺がいなくなった後もすぐに忘れて、誰かと幸せになってくれると思ったんさ」



そう、人はすぐに心変わりする生き物だから…




バシッ


ラビの頬が渇いた音を立てた。

ラビを叩いたの手が、今度は胸板を力なく叩く。


「こんなに、こんなに愛してるのに、忘れられるわけないでしょ!」


馬鹿っと怒鳴られ、ラビは驚いたように目を見開いた。



「どれだけ時間が経ったって、あなたを忘れられるわけない…

だって、私はあなたを愛してるから、大好きだから…

あなたは、今1番私を傷付けているわ。こんなの、私は望んでないよ…」





は、

望んでいない…

そんな事、とっくにわかっていたのに、心の奥底に置き去りにしていた。



の為、の為と思ってやっていた事は、彼女を幸せにしていたか…?




「幸せって…お互いが望んでいて初めて言えるのよ…?」




寧ろ逆。


彼女を苦しめていただけの自己満足にしか過ぎない。



俺自身も、望んでないはず…





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