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songs(R18)

第10章 「アイシテル」 ラビ切甘裏





「ラビ」


「何さパンダ?」


「我々一族はたまたま、こちらにいるだけ。いつここを去るかわからん。要らぬ感情は捨てろ」


「………」



もう幾度となく言われ続けた事である。

入団したての頃はこんな言葉、すぐに聞き流していたのに…


いつしかこの言葉が辛くなっていた。

そしてそれに邪魔されて、に伝えられていない言葉がある。




好きだ、とか愛してる…

心の底では言え言えと叫んでいるのに、ブックマンとして未来の自分を失いそうで…



だから、に想いを寄せていた頃だって、彼女から告白して来るまで待った。




当然、今だって一度も言った事はない。



愛というのは目に見えないものだから、捕まえておく事はできない。


失ってしまうのが怖いんだ、


を…






人間というのはすぐに心変わりする。


もいつか何も言わない自分に痺れを切らして去って行くのだろう…


その時、少しでも情を薄めておけば、互いに辛い思いをしなくていい。



これは、の為…









ーーー・・・





『ラビ、今度はいつ帰って来れるの?』


「もうすぐ、もうすぐ帰るさ~」


今日はいつもよりもの声に元気がない。


疲れているのだろうか


「どした、元気ないさ?」


『ラビ…あの、私…』


言おうか言うまいか迷うようなの声が聞こえる。



『やっぱり何でもない…帰って来たら言うわ』


「?そうか…じゃ、なるべく早く帰るから!」


『うん…』



プツン…



今日はいつもよりも早く電話が切れた。



ツーツーと後に残された自分の受話器が虚しく鳴く。


の様子がおかしい。




いつも、電話の終わり際に言う大好きも言ってくれなかった。










まさか、








(俺の事、好きじゃなくなった?)










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