第10章 「アイシテル」 ラビ切甘裏
任務の帰りや休日、
いつも考えるのは
お前の事さ
RRRRR…
金属の受話器の冷たさが、ほてった耳を冷ますように当たる。
けど早くあいつの声が聴きたい思いがその感覚と、ここが任務先の宿であることを忘れさせていた。
暫くすると、ガチャ…と相手が電話を取る音がして、次に凜としたあいつの声が耳に届いた。
『はい、こちら黒の教団、医療班です』
「そんな硬っ苦しい挨拶やめろよ、~」
心臓が跳ねる。
おちゃらけると、呆れため息と共に相手の声が返ってくる。
『もう、またラビね?いつもいつも…』
「今何してるさ?」
口元が自然と緩む。
フロントの定員が不審なものを見るような目付きで見ている事すら気付かない。
『相変わらず団員のお世話よ』
「へ~も頑張ってるさ~♪俺もに看病されたい!」
『これ以上怪我人が増えたら大変よ。私はラビに無傷で帰って来てほしいの』
それを聞いたラビの頬は赤く染まり、満面の笑みを浮かべている。
「じゃ、の為に頑張って無傷で帰るさ」
「うん、待ってる!…ラビ、大好き…」
そう言って、ラビの話し相手であるは電話を切った。
ラビは受話器を握ったまま夢を見ているようにその場に立ち尽くした。
(三日ぶりにと話したさ♪)
はラビの恋人であり、現在黒の教団、医療班に所属している少女である。
二人の恋人となるきっかけは、最初はラビが入団したてのを気に入り、よく話し掛けるようになり、教団に入り初めて出来た友をいつしか好きになったが告白したというごく普通の流れ。
最初、は切れ長の目のやや長身で周囲に近寄り難いオーラを出していたが、ラビと話すに連れ、心を開き今ではとても甘えてくる。
その甘えようと言ったら、とても愛らしくラビにブックマンとしての心構えを忘れさせるほどである。