第1章 夏は短し恋せよ男児
それから少し経って、黒尾さんと赤葦さんが着いた。
黒「ったく、木兎。探したんだからな?
もっと悪びれろー!」
呆れ顔の赤葦さんと蛍君。
当の本人はおっきく笑いながら
木「悪かった!悪かったから!
下痢ツボ押すなって!」
なんて黒尾さんとじゃれている。
……笑って見てる場合じゃなかった!
そら「まぁまぁ、お説教はあとにして。
この子のお父さんお母さん、早く見つけましょう!」
ピタッと一瞬止まって皆、ゆうき君の方を見る。
黒「おー、坊主。お前か」
月「なんか、黒尾さんが近付くと犯罪者みたいですね」
黒「うるせーぞー、ツッキー」
いつもより間延びした声で反応して、ゆうき君の頭をわしゃわしゃと撫でる。
黒「心配すんなよ、すぐ探してやるから。
そら、この子と一緒にいてやれな」
ゆ「俺も探す!そこの銀髪のお兄ちゃんが言ってた。
自分で探せないものは人には見つけ出せないって。
だから、俺も行く!」
一瞬黒尾さんがキョトンとして、木兎さんを見る。
そしたら木兎さんはゆうき君を抱き上げて
木「そーだぞ!ゆうき!
よし、探しに行くぞ!」
満面の笑みでまた肩車をしてやる。
また変な事吹き込んで…
なんて赤葦さんは言いながら、仕方がないように笑ってる。