第6章 澪のような君へ
そら「あのね、黒尾…。
ずっと手を握ってくれて、ありがと」
黒「なんだよ、急に。
お前そんなキャラじゃねーだろ」
そら「そうだけど…。
…こういう時も頼りになる黒尾が好きだよ」
思わず立ち止まる。
そら「ダメ、止まんないで。
こっち向くのもダメ
…今多分真っ赤だから」
黒「あのー、そらサン?
聞き間違いじゃないデスヨネ」
そら「……聞き間違いじゃ無いです」
黒「あの、今めちゃくちゃキスしたいんですけどいい?」
そら「こっち見るなって言ったでしょ」
黒「あー………ごめん、やっぱムリだわ」
おんぶの状態から下ろして、
倒れないように、背中を支えてやる。
雨なんて気にしない。
そらも首に手を回したままだ。
軽いリップ音。
黒「好きだよ、俺も。
そらの事」
そら「好きじゃなかったら、あんなこと言わない…」
黒「だよな。ありがと」
黒「(あー、もう好き。いつもの余裕なんてないくらい好き。)
緩みそうになる口元を軽く締めて。
少し照れくさくて、ふざけそうな言葉を飲み込んで。
また一つ、濡れた唇にキスを落とした。