第1章 夏は短し恋せよ男児
木「あかーし!遠泳しよーぜ、あそこのブロックまで!」
指差す場所は結構な距離に見える。
赤「はぁ、まぁいいですけど…
溺れたり迷子にならないでくださいね?」
おう!と笑う木兎さんはとてもキラキラしてて、
海が似合うなーとか、一人で思ってたり。
月島くんは一緒に涼んでるけど、黒尾さんが見当たらない。
そら「蛍くん、黒尾さんってどこいったか分かる?」
月「黒尾さんなら、あっちデショ?」
指さす方向を見ると、黒尾が若いオネーサン達に囲まれている。
何となく、あーなる気はしないでも無かった。
つっきー…!
って苦し紛れに叫んでる。
そら「呼ばれてるよ?蛍くん。行ってあげたら?」
月「嫌だよめんどくさい」
そら「…じゃあ、私行ってくるよ、荷物番頼むね」
月「………やっぱいい。そらはここで待ってて」
掴まれた手は離れて彼は
なんで僕がって愚痴を言いつつもちゃんと黒尾さんの方へ行くらしい。
流石にあの人だかりを除けていくのは大変そうだ。
黒尾さんが蛍くんを見つけたのか、蛍くんの方へ歩いていく。
黒尾さんは蛍君の肩を抱いて、
オネーサンたちになにか話してるみたいだ。
すると人が少しずつ引いていく。
ニコニコして帰ってきた黒尾さんと、
呆れたような、怒ったような顔の蛍くん。
そら「おかえりなさい…?大変でしたね」
黒「まぁな。 けど、ツッキーいて助かったわ」
月「散々でしたけどね。何が悲しくて男にキスされなきゃいけないんですか。
ホモ扱いされたんですけど」
黒「いーじゃんこれでも。こうしたからには、
海いる間は声かけられねーし」
なっ!って笑う黒尾さんの裏腹に蛍くんの表情は不満そのものだ。
月「黒尾さん、僕イチゴのかき氷食べたいんですけど」
黒「は?」
月「彼氏さんなら奢ってくれますよね?
しかも先輩だし。
あ、なんなら焼そばとかも食べたいな〜」
そら「あ、私も食べたいです!」
木「えーなになに!黒尾奢ってくれんの?
たこ焼きとー、かき氷と…。海鮮系も食べたい!」
赤「あ、じゃあ、お願いします」
黒尾さんを呼びに来た2人までもが便乗。
月「宜しくお願いしますね?黒尾サン」
彼は綺麗な顔で真っ黒く笑った。