第2章 月夜に咲くのは甘い花
『凄い・・・って言うか。私、家に帰ったら誰か帰ってくる迄はだいたい1人が多いし・・・家事当番以外でもお手伝いとかはするけど、その、あんまりやる事ないし・・・?』
月「・・・ぼっち?」
『違うから!お仕事でいないだけだから!』
月「だから、ぼっちデショ?」
軽いドヤ顔で言われ、返す言葉が見つからない。
山「あっ、あのさ!池田さん宿題終わってんなら一緒に答え合わせとかしようよ!ね?!」
見兼ねたのか山口君が助け舟を出してくれる始末・・・
『いいね!答え合わせとか、みんなでやったら楽しいかも!』
山「みんな・・・で?」
え?
違うの?
月「アホ山口」
山「ツッキー・・・」
なぜかションボリする山口君を見ながら、月島君がため息を吐いた。
日「池田さん!お願い!!宿題教えてぇ・・・」
澤村先輩からしっかりお灸を据えられた日向君が、私の元へ駆け寄り、抱き付いて来た。
目に涙まで浮かべて訴えるあたり、澤村先輩から・・・きっと宿題終わらないと練習させない!位のお説教をされたのだろうと予測する。
『そ、それは構わないけど・・・あの、距離が近いよ日向君・・・』
そんなにピッタリくっつかれると・・・
ちらりとコッソリ縁下さんを覗き見る。
・・・ほら。
ニコニコと笑顔は浮かべているけど、目が・・・目が笑ってないですよ、縁下さん・・・
意外とヤキモチ焼きなんだよね。
・・・私の彼は。
山「ちょい、日向!ヤバイから離れろって!縁下さんがメチャクチャこっち見てるから」
縁下さんの黒いオーラに気づいた山口君が、日向君を掴んで引き剥がした。
田「頼む!オレにも勉強教えてくれ・・・」
西「あっ!ずるいぞ龍!」
日向君が離れたと思えば、次々とやって来る先輩方・・・
前から横からガッシリと抱きしめられ、私は身動き出来ずにもがいていた。
『田中先輩も西谷先輩も!とりあえず離れて下さい!暑いし苦し、』
田・西「「痛ってえ!!」」
スパーンという2発の聞きなれた音と同時に、2人の先輩が私を解放する。
田「誰だ今叩いたのは!・・・あ、縁下・・・」
西「ち、違うぞ力!誤解だ誤解!」
2人の腕から解放され顔を上げると、普段は清水先輩が担当している丸めたノートを持ち、腕を組む縁下さんがいた。