第2章 月夜に咲くのは甘い花
田「暑い・・・暑すぎる!!」
西「龍・・・それを言うな・・・言えば言うほど、暑い・・・」
そんなにこの部屋暑いかな?
私にしたら、少し肌寒い位なんだけど・・・
『田中先輩、西谷先輩。エアコンの温度変えましょうか?』
縁「そんな事しなくて平気だよ。この2人は脳をフル回転させてるから発熱してるだけなんだよ」
『そうなんですか?でも・・・』
暑くて集中出来ないのなら、少しでも快適な温度にしてあげたら・・・と思うんだけど。
それに今、池田家のリビングは満員御礼状態だし。
・・・・・・・・・そうなった事の発端は。
3日前の部活の休憩時間の日向君のひと言から始まった。
日「ねぇねぇ池田さん!昨日の帰りに貼り紙見たんだけど、花火大会あんの?!」
そのひと言で田中先輩と西谷先輩が騒ぎ出し、花火大会当日は午前中のみの練習予定だった事もあって、大地さんがどうせなら練習時間伸ばして夜はみんなで見に行くか?と提案した。
けど・・・
武「花火大会ですか~?いいですねぇ、夏の風物詩らしくて。ですが、皆さん?もうひとつの夏の風物詩を・・・お忘れでは・・・ないですよね?」
キラリと光を反射させる眼鏡を押し上げ、武田先生が部員全員を見渡した。
田「花火大会以外のって、祭り・・・ッスか?」
田中先輩・・・それは違うと思います。
強いて言うならば・・・
菅「夏休みの宿題の事だろ!」
ペシっと田中先輩の頭を叩きながら、菅原先輩が、全く・・・と呆れていた。
田「夏休みの・・・」
西「・・・宿題・・・?」
日「あーっ!」
影「あ・・・」
限定4名が、急に顔色を悪くして棒立ちになる。
澤「・・・まさか?とは思うが、お前達・・・」
菅「大地、この様子じゃ聞くまでもなさそうだよ・・・」
あ、なんかヤバイ。
澤村先輩から、物凄い黒いオーラが出始めた。
私はこの後に発せられる雷を予感して、すぐ隣にいた月島君の背中に隠れた。
月「ちょっと・・・なに?」
『あはは・・・何となく避難・・・』
月「もしかして宿題やってない?とか?」
月島君の発言に、澤村先輩が私にも視線を向ける。
『そ、そんな訳ないでしょ!私は夏休み入って1週間くらいで全部終わらせてるから心配ご無用!』
山「あの量を1週間?!池田さん凄いね!」