第8章 おねがい♡サマー仮面【カラ松】
「もう無理……童貞のオレには……エロすぎてキャパオーバー……」
そう絞り出すと、サマー仮面はわんわんと泣き始めた。
「わ、分かったから! 自分で塗るから! カラ松くん、お願いだから泣かないで! ほら、みんな見てるから!」
鼻血を流しながら、変な仮面をつけて大泣きする成人男性はかなり目につくのか、通る人がみんな冷たい視線を向けてくる。
私は慌ててサマー仮面の鼻血と涙をタオルで拭いた。
「ううっ……愛菜ちゃん……スイートマイハート……うううっ……」
「うんうん、大丈夫だよ。私ならここにいるから。遊ぶのはやめて、しばらく休む?」
「ノー……愛菜ちゃんと遊ぶ……」
「分かった」
私は立ち上がるとサマー仮面の手を取った。サマー仮面も釣られたように立ち上がる。
輝く海と晴れ渡る空。夏なんてあっという間。泣いているにはもったいない。
「ほら、カラ松くん、行こう!」
私はサマー仮面の手を引っ張り、海へ向かって走り出した。