第38章 幽霊物件カレシ付き【一松/お礼SS】
一松が律動を始めた。私の腰を掴み、激しく欲をぶつけてくる。粘膜と粘膜が擦れあい、痺れるような幸福感に襲われる。一松の下で私は声を上げて身体をくねらせた。
『この家にずっといてくれれば』
――じゃあ、もし私がこの部屋を出ていこうとしたら一松はどうするの……?
「ぐぅっ……うっ……愛菜っ……愛菜……くそっ……愛菜……愛菜っ……!」
何度も私の名前を呼びながら、一心不乱にピストンを続ける幽霊。
「あああんっ……あ……あっ……ンッ、んんぁ……あ……」
一松との情事は麻薬だ。溺れてしまったら二度と断ち切れない。
毎朝起きるたびに後悔する。すぐにでも引っ越してしまおうと思う。
なのに気づいたら必ずこの部屋に帰ってきて、夜11時にはきちんとベッドに入ってしまう。
「ううっ……出る……!」
一松が呻いて腰を突き出した。私の中で大量の精がほとばしる。彼にしがみつきながら私は身体を反らせて受け止めた。
「一松……」
そっと頭を撫でようとすると、すぐに体を起こす幽霊。
「次は金縛りのままうしろから犯すから」
さっきまでの甘えたような顔は消え、一松はまた妖しく微笑んだ。
「っ……」
ゾクゾクとするような興奮。ああ、これだからやめられない。たぶん死ぬまで私はこの部屋に帰り続ける。
「あんたの中に朝までたっぷり出させて……」
一松が私の身体を抱き上げた。
「うん……いいよ……」
精液まみれの肌にまた火が灯る。私は一松の冷えた首に手を回した。
―END―