第8章 おねがい♡サマー仮面【カラ松】
「もう! 今度は何?」
「まずは日焼け止めだろう!? サマーと言えば、カレシがカノジョに日焼け止めを塗って、イチャコラするのが定番だろう!?」
サマー仮面が熱く主張する。
「あー、日焼け止めね。大丈夫だよ。SPF120のやつをちゃんと持ってきてるから。ほら」
私は鞄から日焼け止めを出すと、すぐに自分の足に塗り始めた。
「ノー! トゥーバッドサマー!!」
途端にサマー仮面が叫んで、あっという間に私の日焼け止めを奪い去る。
「な、何!?」
「自分で塗っちゃあ、ダメだ、ハニー! マイナス50000サマー!」
「えー……」
「オレが塗るから! 愛菜ちゃんはカッコいい彼氏と海デートしたいんだろうッ!? カッコいいオレとイチャイチャしなきゃ、デート気分を味わえないじゃないか!」
「カッコいい……? う、うーん、まあ、いいけど……じゃあ、向こうのパラソルの下に行こうよ」
私は、カラ松くんをパラソルの下に座らせると、自分もすぐ横にうつ伏せに寝転がった。
「はい、お願い」
「え……」
サマー仮面が固まる。
「塗るんでしょ? 早くしてよ」
「う、うん……」
なぜか急に大人しくなったサマー仮面は、日焼け止めを震える手で出すと、そっと私の背中に塗り始めた。