第8章 おねがい♡サマー仮面【カラ松】
この水着は、去年彼氏と海に行った時に買ったもの。可愛くてお気に入りなんだけど、残念なことに今年はもう見せる相手はいない。あ、仮面の男はいるけど。
「お待たせ〜」
人が多くても変な仮面はとにかく目立つ。すぐに見つけて戻ると、サマー仮面は私を見るやいなや、「おおっ! おー……」と呻きながら、砂浜に蹲った。
「カラ松くん、どうしたの!?」
「ナ……ナイス! ナイス水着! 150000サマー! 真夏のエロヴィーナス! 来てよかった! 来てよかったあぁぁーー!!」
サマー仮面は蹲ったまま、親指を立てて叫んだ。
どうやらキワドイ水着じゃなくても無事サマーが貰えたようだ。
「うん、この水着でも充分可愛いでしょ? カラ松くんが喜んでくれたのは分かったから、早く行こうよ! ほら立って!」
「今は立つのは……無理だ……」
「なんで!?」
「オレの暴れんボーイが荒ぶる獅子のごとく目覚めてしまって、な……」
サマー仮面は蹲りながらフッと笑う。
「またワケの分からないこと言って。私、先に行ってるね」
仕方なく私は歩き出した。
「ちょちょちょ、待つんだ! ハニー!」
サマー仮面が首から外したマントで下半身を隠しながら、慌てて飛んできた。