第8章 おねがい♡サマー仮面【カラ松】
「オービューティフルサマー!」
サマー仮面が拳を天に向かって突き上げ、いきなり叫んだ。
「え? な、何?」
「ならば、早速、海へデートに行こうじゃないか! 真夏のアバンチュール! ハニー、早く車を出して!」
「ハニーって私のこと!? え、てか、カラ松くんと海に行くの!? しかも私が車を出すの!?」
「フッ、オレは車を……持っていないっ!」
「…………」
まあ、退屈してたしいっか……。私は仕方なく車を出すことにした。エンジンをかけると、助手席にサマー仮面が当然のように乗り込んでくる。
「あのさ、カラ松くん。その格好はちょっと……ちゃんと服を着てくれるかな?」
「どうせ今から海へ行くんだ。水着を着ていて何が悪い!」
「じゃあ、恥ずかしいから、せめてその変な仮面を取ってくれる?」
「それはだめだ! サマー仮面じゃなくなったら、サマーをサマーする意味がない! サマーあってこそのサマーを愛菜ちゃんがより楽しんでいるサマを見ながら、サマーサマサマな限られた日々を楽しむそんなオレサマ! 分かるだろう?」
「ああ、うん、そっか、へぇー」
途中から真面目に聞くのを放棄した私は、適当に返事をした。
「フッ、仮面が恥ずかしいなんて、ちっぽけなことにこだわっていては、サマーを注入できないぞ? せっかくオレたちの季節が来たんだセンキュー! さあ、早くデートに出掛けようじゃないか、ハニー!」
「…………」
大体、私はカラ松くんとデートしたいわけじゃなくて、いい人を紹介してって言っただけなのに……。
仮面の変質者を助手席に乗せ、私は車を発進させた。