第8章 おねがい♡サマー仮面【カラ松】
「フッ、安心しろ! オレが不法侵入したのは、愛菜ちゃんの部屋だけだ! 愛菜ちゃんの仕事帰りに駅からここまで毎日後をつけているのも、家の前でこっそり待ち伏せして、さりげなく道で会ったように装って話しかけているのも、君にしかしていない!」
サマー仮面が「どうだ!」と言わんばかりに私に指を突き出した。
「何それ!? 普通に怖すぎるんだけど……。とりあえずもう帰ってくれないかな?」
「愛菜ちゃん、そ、そんな冷たいこと言わないで……君にサマーが足りていないから、オレはサマーを届けようと思って……」
サマー仮面が泣きながら私の腕に縋る。
サマー、ねぇ……。
私は腕を組んで考えた。
青い海、白い砂浜、カッコいい彼氏、素敵な夏の恋、イン○タ映えする写真、いいね!の嵐……。うん、確かに今の私はサマーに飢えているかも。
「サマーをあげるって言うけど、具体的に何をしてくれるの?」
少し興味を持った私が尋ねると、サマー仮面はすぐに涙を拭いて立ち上がった。
「逆に聞こう! 愛菜ちゃんは、サマーに何をして欲しいんだ?」
「えっと……何でもいいの? 私ね、せっかくの夏だから、カレシと海でデートとかしたいんだあ。誰かカッコいい人を紹介してくれる? あっ、トド松くんにいい人いないか聞いてみてくれないかな? 彼なら友達多いでしょ? ね、お願い!」