第38章 幽霊物件カレシ付き【一松/お礼SS】
「あんた……興奮してるの……?」
一松の声が耳にねっとりと絡みつく。
「興奮なんてしてない!」
「でも……そう言うわりにはここが固くなってるんですけど……」
突然、胸の突起に刺激が走った。クチュクチュという水音とともに冷たい舌が突起を転がす。見えなくても何をされているのかはすぐにわかった。
「あ……やぁんっ……や……やめてぇっ……!」
強く吸われ、苛められる突起。一松の唾液で濡れた乳房が薄明かりの中でてらてらと光った。
「気持ちいい? おれも……気持ちいいよ……」
手を掴まれ、何かを握らされる。
「っ!!」
ガチガチに固くなった一松の欲棒だ。幽霊とは思えないくらいに生々しいその感触。
胸が激しく高鳴った。
なぜだろう? いつも一松のコレを握るたび、突然すべてがどうでもよくなってしまう。まともな思考も、理性も、全部吸い取られたみたいになる。
「ねぇ……おれのを擦ってよ……と言いたいところだけどあんた身体を動かせないんだったな。なら、こっちで動かすよ」
私の手が勝手に動き始めた。規則正しく上下して一松を愛撫する。欲棒はさらに強度を増し、先から滲んだ涎が私の指を容赦なく汚した。
「い、いや……止めて……」
「止めるわけないだろ。あーそれ、いい……。マジあざーす……」
一松の夢見心地な声が響く。
もし金縛りにあっていなかったら、体が自由に動いていたら……。それでも私は同じように一松を愛撫していたかもしれない。
『今夜は流されない』『今夜こそは抵抗してみせる』
いつも決心してベッドに入るのに、結局誘惑に負けてしまう。いつの間にか自分から一松を求めてしまう。
――私……もう……取り憑かれているのかな……?
冷え切った一松の手が私の胸を揉みしだく。あまりに冷たくて気を抜いたら心臓が止まってしまいそうだ。でも激しく揉まれれば揉まれるほど、快感が波のように押し寄せた。