第37章 愛はなくとも君がほしい【カラ松】
「カラ松!? 大丈夫!?」
カラ松は荒い息をしながら私を見た。
「出た……」
「ええっ!?」
もうイッちゃったの? たしかにすぐ出そうとは言っていたけど。
「「…………」」
カラ松は大袈裟にため息をついて肉棒を引き抜く。たっぷりと出したのか避妊具はパンパンに膨らんでいた。
私の中でこんなに出たんだ……。ちょっと嬉しいなと思ってしまう。
「カラ松」
「うん?」
「よかったら……もう一回……する?」
カラ松は避妊具を外していた手を止めた。
「いいのか? オレは己の欲望のために愛菜の身体を利用してるんだぞ?」
「利用? 違うでしょ? さっき私のこと好きって言ったのに」
「もちろんオレは好きだが……。愛菜は好きでもない男に付き合って何度もセックスしてくれるのか?」
好きでもない男……。
胸の奥がざわつく。
そんな冷たいひとことで簡単に片付けられる仲じゃない。相手がカラ松だからしてもいいって思ったのに。
私はカラ松の腕を引っ張った。
「好きでもない男じゃないよ。私も……カラ松のこと好きになっちゃったみたいだし……」
「は……?」
カラ松がポカンと口を開ける。
「私も順序を間違えた。本当の気持ちに気づくのが遅かったの。でもカラ松もそうでしょ? だからお互い様だよ。ハイ、これ」
私は枕元から新しい避妊具を取ると、カラ松の手に押しつけた。
カラ松は呆然と受け取ったが、次の瞬間、我に返ったように目を見開いた。
「っ! 愛菜! 今のもう一度言ってくれないか?」
「今の? 『お互い様だよ』?」
「ノー! その前!」
「えっと……『気づくのが遅かった』?」
「違う! もっと前だ!」
私はう〜んと唸った。
「……なんだっけ?」
「ホワイ!? ものすごく重要なことを言っただろう!?」
カラ松が私の肩を掴んで揺さぶる。すぐ目の前にカラ松の顔が近づいた。