第37章 愛はなくとも君がほしい【カラ松】
「おいおい待ってくれ、トッティ。オレと愛菜はただの幼馴染だ。おまえたちだってそうだろう?」
トド松の横で本を読んでいたチョロ松が顔を上げた。
「僕たちも愛菜とは仲いいけどね。でもカラ松と愛菜はまた別だろ? いっつも二人でつるんでるじゃん。ずっとカラ松の片想いだと思ってたけど? 違うの?」
「えー! カラ松兄さん、愛菜のこと好きなのぉ!?」
十四松がパッと目を輝かせる。
「い、いや……好きというか……ブラザーたちだってみんな愛菜を好きだろう? よく銭湯で愛菜とセックスしたいという話をするじゃあないか!」
ソファで猫と遊んでいた一松も手を止めた。
「そりゃ一番身近にいる女ってトト子ちゃんか愛菜ぐらいだからね……。おれたち六つ子は童貞を拗らせまくってるから、とにかくヤリたいわけ……。もちろん愛菜だってさせてくれるならしたいよ……」
「でもカラ松兄さんは違うんじゃないの? 女のコとしたいというより、愛菜だからしたいんでしょ?」
トド松があとを続ける。
「…………」
愛菜だからしたい?
言われてみればそうだ。たしかにセックスを連想するとき最初に思い浮かべるのは愛菜だ。もちろんAVだって見るし、他の女性だって考えないわけじゃない。でも大前提として、いつも愛菜が頭にあった。
「えぇ……何その顔。ウソでしょ? 自分で自覚なかったの?」
呆然とするオレを見て、トド松が怪訝そうに眉を潜める。
「だ……だっていつもみんなで愛菜とのセックスの話で盛り上がって……てっきりブラザーたちも同じ気持ちだと……」
「おいおい、カラ松ぅ! それはその場のノリだろ〜!? 同じ気持ちなわけないじゃん!」
おそ松が突然うしろから首に絞め技を仕掛けてきた。
「ぐっ……! 離せ、おそ松! ノリって、おまえ……」
「だって、エロ話で盛り上がるの超楽しいんだもーん! でもカラ松のは恋愛感情だろ? 俺たちとは違うの! お兄ちゃんはただエッチな話をしたいだけ〜」
恋愛感情?
オレは愛菜と恋愛をしたいのか?