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《おそ松さん》クズでニートな君が好き(R18)

第35章 水とワイン/Água e Vinho【おそ松/マフィア松】


「おい、愛菜! よりによってなんでこの男なんだよ!」

「い、痛っ……」

髪を掴んだまま、愛菜の頭をガクガクと振る。

「市長になるのを応援してくれるって言ったじゃないか!」

「は、離して……!」

男は愛菜の髪から手を離すと、うしろから抱きかかえた。

「よく考えろよ。俺は次の選挙で市長になる。こんなやつよりも俺についていたほうが賢いぞ。市長婦人になりたくないか? 手を貸してくれよ。おまえから警察に証言するんだ。全部こいつのでっちあげで俺は被害者だ、って」

「ぜ、絶対にイヤです! 警察に訊かれても私は真実を話します!」

「そうか……おまえは本当にかわいそうな女だな……」

男は縛られていた愛菜の手を自由にした。愛菜に銃を握らせ、手を添える。俺に銃口を向けた。

「や、やめて! 何する気!?」 

「おまえがこいつを殺すんだよ。俺はおまえを警察につきだす。殺人犯の女が証言したところで誰も信じないからな!」

「いや! 離して!」

俺はなんとか上半身を起こした。恐怖に慄く愛菜の顔。そのうしろで必死の形相の男。銃口はまっすぐに俺の頭を捉えていた。

くそっ……。もう少し身体が動けば……。

「っ……愛菜……」

「オ、オソマツさん……」

もうここで好きな女に殺されるか? いや、愛菜に殺人を負わせるわけにはいかない。

俺はニヤリと笑った。

「撃ってみろよ。この俺を素人が殺せるわけないだろ……」

「や、やめて、オソマツさん! 挑発しないで!」

「それにしても情けねぇ男だな〜。動けない相手を撃つのにも、女の手を借りなきゃできないなんてさぁ〜」

瞬間、男の顔色が変わった。 

「うるせぇ!! だったら、俺が殺してやるよ!!」

銃を取り上げ、男は愛菜を突き飛ばす。間髪入れずに一発。銃声が響いた。

「いやぁああ!」
愛菜の金切り声。


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