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《おそ松さん》クズでニートな君が好き(R18)

第35章 水とワイン/Água e Vinho【おそ松/マフィア松】


「こっちか!」

俺は駆け出した。

ぶどう畑に入り、光が見えたあたりまで進む。地面に目をやるとネックレスが落ちていた。

拾い上げて見てみると、真っ赤なルビーがついている。俺が愛菜にプレゼントしたものだ。

「愛菜……?」

俺はさらに奥へと進んだ。

ぶどうの木の影に布切れのようなものが見える。

「っ! おい!」

駆け寄ってみると、見えていたのは愛菜のスカートだった。うつ伏せになって倒れている。

「愛菜! 大丈夫か!? おい!」
彼女の肩を抱いて仰向けに起こす。

気絶しているのかと思ったら、愛菜は目を開けていた。口には猿ぐつわを嵌められている。

「なんだよこれ! 誰にやられた!?」

よく見ると腕も縛られていた。

「今、外してやるから!」

「んー!!」
愛菜が激しくもがく。

「おとなしくしろって! 外せないだろ!」

「んうーー!」
必死に何かを訴えかけてくる瞳。

「だから、わかったってば! 今、取ってやるから!」

猿ぐつわを解いてやる。

瞬間、銃声が連続で七回、耳を劈いた。

「っ……!?」

足に走る痛み。俺は地面に転がった。七発のうち一発だけ命中したようだ。

「オソマツさん!」
愛菜が声を上げる。

また連続で上がる銃声。

「っ……」

地面に頭を擦りつけながら下半身に目をやると、スーツが血に染まっているのが見えた。今度は脇腹に一発当たったらしい。

下手な鉄砲、数うちゃ当たるってか。

気が遠くなりそうな痛みに耐えながら、俺は苦笑した。

二日連続でスーツを赤く汚しちまうなんて、ツイてないよなぁ。もう白いの着るのはやめて、最初から赤いスーツにでもするか? ワインをこぼそうが、撃たれて血まみれになろうが平気だよなあ。帰ったら早速作るか。

「オソマツさん! しっかりして!」
愛菜の声。

どうやら俺にうんざりして逃げたわけじゃなかったようだな。

よかった……。

心の底からホッとしている俺がいる。

「愛菜……ちょっとだけ待ってろよ……すぐに……腕のも外してやるからな……」

「オソマツさん! 何言ってるの!? 早く逃げて!」

そっちこそ、何言ってんだか。足を撃たれてるんだから、逃げるのは無理だろ。ムチャクチャ言うなよなぁ。


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