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《おそ松さん》クズでニートな君が好き(R18)

第35章 水とワイン/Água e Vinho【おそ松/マフィア松】


おまえら?

私とジュウシマツさんも釣られて振り向いた。

いつからいたのか、緑シャツの男性が呆れた顔で立っている。

「はぁ……オソマツ兄さんは詰めが甘いんだよ。尻拭いはいつも僕らがやらなきゃいけないんだから」

よく通る高い声。たしか三番目の弟さんだったはず。

「フーンッ、まったくだな! どうやらナンバー2のこのオレがしっかりしていないと我が一家は回らないようだ」

そのうしろからカラマツさんが指を鳴らして現れた。

「刑事さん……おれたち全員ちょうど帰宅したところなんだよ……。タイミングが悪かったね……。ご愁傷さま……」
その横で銃を片手にニヤリと笑う紫の弟さん。

「もうっ! 帰ってきたとたん、警察の相手? めんどくさいな〜! オソマツ兄さんってば何やってんの!? さっさと終わらせちゃおうよ!」
ピンクシャツの弟さんもいる。

「というわけで、あとは弟たちが適当に遊んでくれるからさ〜。よろしくぅ〜」
オソマツさんがゆっくりと後ずさった。

「ま、待て!」
刑事が慌てて引き金を引く。家の前に停まっていた車のボディに当たり跳ね返った。それを合図にバラバラと警察官たちが走ってくる。

「おいおい、やめてよ! 俺の自慢の車がぁ〜!」
オソマツさんが悲鳴を上げた。

「今は車どころじゃあないぞ、オソマツ! いいから早く行け!」

カラマツさんが前に出ると、弟さんたちもそれに倣う。オソマツさんを庇うようにずらりと並んで立ち塞がった。

「おまえら、頼んだぞ! 愛菜! 一緒に来い!」

オソマツさんが私に駆け寄り、腕を引っ張る。

「で、でもさっきは来るなって……」

「しかたないだろ! 連れて行きたくないけど、こんなところには置いていけないっての! 走れ!」

私たちは車に駆け込んだ。

「弟さんたちはいいんですか?」

「あ〜大丈夫。あいつら頼りになるから。適当に時間稼いでくれるだろ。行くぞ!」

オソマツさんが運転席に座り、バックで急発進させた。運転手を呼ぶ暇もない。

「オソマツさん! どこに行くんですか?」

「行けばわかるから」

Uターンをして車は走り出す。

「ひゃあっ……!」

「大丈夫か? ちゃんと掴まってろよ」

激しく揺れる車体。ドアに掴まりながら振り返ると、弟さんたちが一斉に銃を構えるのが見えた。


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