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《おそ松さん》クズでニートな君が好き(R18)

第35章 水とワイン/Água e Vinho【おそ松/マフィア松】


アツシと呼ばれた刑事は肩をすくめた。

「緊急だったので、すみません。さきほど男性が署に駆け込んできたんですよ。監禁されて暴行されたからあなたを逮捕してくれ、と。次期市長選の候補者の男性です。一般市民に手を出されちゃ、動かざるを得ないでしょう?」

次期市長選の候補者? それって……。

オソマツさんが自嘲気味に笑う。
「ああ〜、そうなっちゃう? やっぱりカラマツの言ったとおりだ。情なんかかけるもんじゃねぇな。逃してやったら警察に行きやがったか。で、そいつはもう帰ったの?」

「もちろんお帰りになりましたよ。マツノさん、こちらとしても早くあなたを拘束させていただきたいんです。監禁暴行は大した話じゃない。怪我もしてなかったようですし。それよりも私たちが話を聞きたいのは密造酒の件です」

「ひぇ〜、だから手っ取り早く撃ったってか? すげぇな。狂ってんじゃん」

「あなたたちが普段していることに比べたら、すこぶるまともですよ」

「…………」

オソマツさんはため息をつくと、肩を押さえたまま立ち上がった。

刑事は銃を構え直す。

「ああ、そうそう。マツノさん、私たちに裏から手を回そうとしたでしょ? 無駄でしたね。市長が全部吐いてくれましたよ。まあ、彼もマツノさんの言うことを聞く気はなかったみたいです。女を庇って市長を怒らせたんですって? だめじゃないですか」

私はハッとオソマツさんを見た。

昨日、私を庇って市長と口論になった。そのせいで……。

オソマツさんは刺すように刑事を見つめた。

「悪いんだけどさぁ、俺、今から行かなきゃいけない用があってさ。ある男を捕まえなきゃなんないの。ずっと前から探してた男で、ようやく見つかってさ。もしかしたら、あんたら警察にも関係ある人物かもよ? だから今は警察署には行けね〜や」

「はぁ!? そんなことを許すわけないだろう!? 今すぐに署に来ていただく!」

「だよねぇ。じゃ、しょうがないか。おい、おまえら」

オソマツさんが振り返る。


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